小児外科は、手術を必要とする新生児から高校生(0~18歳)までの外科疾患が対象となります。
当科は、『患者ファーストをモットー』に、お子さまへのストレスを軽減するために様々な取り組みをし診療に取り組んでいます。また、当院は全国でも数少ない日本小児外科学会の教育関連施設に指定されています。

【新生児外科疾患】
総合周産期母子医療センターとして、NICU18床、GCU20床を有しており新生児搬送や母体搬送を受け入れ、母胎および新生児における外科疾患を担当しています。
新生児外科疾患である消化管穿孔(胃破裂、胃穿孔、など)、小腸閉鎖症、腸回転異常症、中腸軸捻転症、 低出生体重児(未熟児)消化管穿孔、胎便関連腸閉塞、臍腸瘻、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、先天性横隔膜ヘルニア、鎖肛など対応が可能です。

【小児外科疾患】
担当する日常的な疾患として、鼠径ヘルニア、陰のう水腫、停留精巣、臍ヘルニア、乳児肛門周囲膿瘍、包茎、亀頭包皮炎などがあります。また、顔面や頭部の打撲、すり傷や切り傷などの外傷、熱傷(やけど)などは形成外科医と、鎮静が必要な検査(MRIなど)や処置を行う場合には必要に応じ麻酔科医など各専門部署と密接に協力して、安全かつ迅速に日帰りでの検査や処置を行っています。
一方で、緊急手術が必要な、急性虫垂炎、腸閉塞、腸重積などにも対応しています。
異物誤飲(コインやビー玉などを誤って飲み込んでしまった)や異物誤飲の疑いのあるお子さまも診察、場合によっては摘出が可能です。

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主な対象疾患
鼠経ヘルニア(脱腸)
鼠径ヘルニアは、一般には脱腸と呼ばれています。鼠径部(ふとももの付け根あたり)から陰部にかけて腸が脱出して膨隆したり引っ込んだりする疾患です。子どもの1~5%くらいの頻度でみられるので比較的よくある疾患です。
当科では男女問わずほぼ全ての症例を腹腔鏡手術で行っています。
臍ヘルニア(出べそ)
臍ヘルニアは新生児10人に対して約1人に発生します。低出生体重児ではさらに高く発生します。臍ヘルニアは1歳で80%が、2歳で90%が自然に治ると言われています。治らなかった10%は手術で治療します。
当科では形成外科と協力して、臍ヘルニアの根治はもちろんのこと整容面でも優れたお臍の手術が可能です。
急性虫垂炎(盲腸)
小児は進行が早く、破れやすいのが特徴です。破れると腹膜炎になり、命に関わることがあるので、右下腹部が痛いときは、早めに受診してください。
当科では手術加療はもちろんのこと、軽症例では保存的治療を行い、重症例の1つである膿瘍や腫瘤を形成した虫垂炎は保存的治療を行ったのちに待機的虫垂切除術(interval appendectomy)も行っています。
停留睾丸
放置すると、精子の形成、男性ホルモン合成障害が起こるため、睾丸が陰嚢の中にないときは、一度受診してください。
包茎
自然に治癒することが多いですが、時に細菌が感染して包皮が赤く腫れ上がることがあります。慢性化すると陰茎が変形することもありますので、2歳ぐらいまでに包皮がむけないときは、一度受診してください。

専門外来/手術
[専門外来]

● 小児外科外来 :毎日

地域の先生方へ

『患者ファーストをモットー』に、頻度の高い日常的疾患を確実に治すことを第一目的としています。
鼠径ヘルニアや臍ヘルニア、臍炎(尿膜管遺残)、などの小児外科疾患はもちろん、停留精巣や移動性精巣(遊走精巣)、包茎、亀頭包皮炎、陰のう水腫などの小児泌尿器科疾患を当院では診療が可能です。
特に、急性虫垂炎や腸重積などの小児急性腹症の診断および治療に力を入れていますので、症状の軽重問わず腹痛の診断や治療に難渋する場合には是非ともご相談ください。
当科の特徴の一つとして、異物誤飲(ボタン電池、コイン、ビー玉、プラスチックなど)の診療が可能です。異物誤飲やその疑いのある患児の診断および場合によっての摘出が可能です。
また、頭部や顔面外傷、裂創切創挫創などの外傷、熱傷などは形成外科とも協力して随時対応していますし、さらに縫合処置が必要な症例も部位を問わず可能です。
なお、時間外対応に関しては可能な限り対応していますので、一度ご相談ください。

日帰りによる検査や処置なども積極的に行っています。リンパ管腫や血管奇形、皮下腫瘤や直腸肛門疾患など小児領域にもMRI検査が診断や治療に必要な症例があります。また、縫合処置など疼痛や苦痛を伴う処置もあります。当科では小児を専門とする麻酔科医と協力して鎮静にてMRI検査や処置を行うことにより、お子さまの医療行為による苦痛の軽減を心掛けております。鎮静後はしばらくの様子観察を病棟で行いますが、覚醒が良好ならば鎮静後数時間で帰宅できます。

小児外科は小児の外科疾患の窓口でもあると考えています。お困りの症例がございましたら、ご遠慮なく当科にご紹介いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

医師紹介


前川 昌平
[副部長]
<略 歴>
平成18年(2006年) 近畿大学医学部 卒業
平成26年(2014年) 近畿大学大学院修了 医学博士(近畿大学)

<資 格>
医学博士
日本小児外科学会認定 小児外科専門医
日本外科学会認定 外科専門医
麻酔科標榜医
日本周産期・新生児医学会 認定外科医
日本がん治療認定医機構認定 がん治療認定医
日本周産期・新生児医学会 
      新生児蘇生法「専門」コースインストラクター
ぼうこう機能障がい指定医/小腸機能障がい指定医
小児慢性特定疾病指定医
難病指定医

<受講終了研修>
TNT(Total Nutrition Therapy)研修会 終了
緩和ケア研修会 修了
緩和ケアチームのための小児緩和ケア教育研修 修了
臨床研修指導医講習会 修了

〈非常勤医師〉

松尾 吉庸
日本外科学会専門医
日本小児外科学会専門医
日本消化器外科学会認定医・指導医
検診マンモグラフィ読影認定医師(A判定)
日医認定産業医